2011年04月03日

全国でできる子どものこころのケア

全国でできる子どものこころのケア

東京学芸大学教授 臨床心理士 小林正幸
この文書は、
「東北関東大震災特設 先生のためのメール相談(http://for-supporters.net/)」の、
コラムの内容をword化したものです。

被災地にいらっしゃる方々の助けになりますよう、印刷・配布して頂いてかまいません。
また、上記のサイトより、今回の災害に関しての子どものケアについて、相談することができます。
ぜひご利用ください。

◆被災地からの距離を比較して我慢しないようにしましょう。

自分よりも大変な思いをしている地域があることを、テレビを見て知ります。
自分よりも大変な思いをしてる地域があることを、テレビを見て知ります。
もっともっとつらい思いをしてる人がいるんだから、「私はがまんしなければいけないんだ」と考えます。
日本人の美徳ですね。
でも、 今回の災害は、その大きさが尋常なかったのです。
被災した人は、どなたでもそうでしょう。
でも、たとえ被害が軽く済んだとしても、恐ろしい思いをしていたのです。

◆恐怖は、人との比較でその大きさが決まるのではありせん。

どれほど、遠い地域でも、どれほどの軽微な被害でも、恐いものは恐いのです。
恐いと言っていいのです。
泣いていいし、叫んだっていいのです。
それは、お子さんは当然。大人も一緒なのです。

◆被害が軽かった地域での子どもに必要なこと

今の時期に恐いと訴えて、落ち着きをなくしているお子さんの反応は、とても自然です。
身体で感じる恐さに寄り添い、誰かに安心を与えてもらえれば、 時間の経過とともに癒されていきます。

先生へのお願いです。
保護者の方々にもお願いです。
他の地域と比較して、「もっとつらい思いをしている人たちがいるんだよ」という形で、お子さんの示すさまざまな不安や恐さ、その辛さから示す欲求不満を我慢させないでください。

たとえ被害が軽かった地域でも、お子さんたちは、テレビの映像にさらされました。
それは映画の作り物ではありません。
大人たちは楽しんで見てはいません。
その余裕のなさが、子どもの不安を増してきています。

被災地からどれほど遠くでも、お子さんが災害前よりも不安が高かったり、我ままを言うようになったときは、その恐怖を認め、安心を与えるということを大切になさってください。
援助にあたっている大人たちも同じです。
つらさや恐怖は、人と比べないことが大事なのです。

◆子どもの恐さについて

子どもの恐さについては、全国的に配慮をお願いします。
今回のような大規模な震災では、 客観的には比較的無事だったと思われるお子さんたち(身近に亡くなった人などがいない場合や生活に支障がない場合)でも、恐怖感などは、尋常なものではありません。

揺れを体験したり、その後で、映像で津波が迫る映像や原発の水素爆発をくりかえし見たりしたことで起きた恐怖感は、尋常なものではありません。
大人たちもそうなのです。
普段に比べて妙に元気になったり、妙に幼くなったりするのは当然だと考えましょう。

怒りっぽくなってしまったり、涙ばかり出てしまうこともあるでしょう。
お子さんを怒ってしまったり、妙に涙もろくなったり、自分はダメだと思ったり、イライラしたり、でも、そういう自分はそれで今は良いのです。
不安にかられて、急にお子さんを抱きしめたり、そんな普段ではない自分がいるお母さんやお父さんになっているかも知れません。

でも、それはそれで良いんです。
自分で自分にOKと言いましょう。

今は今のままで良いのです。
それで十分です。
そして、その上で、目の前のお子さんに、あなたはそれでOKと言いましょう。
お子さんは今のお子さんで十分なのです。


◆朝の健康観察を丁寧に

学校の方、保護者の方へのお願いです。
朝の健康状態を丁寧に見てください。
阪神淡路大震災の際の心理ケア電話相談に携わった体験から言えることですが、仮に遠方であっても、心理的に脆弱な方ほど、早い段階から身体的な不調を示す場合が多かったように思います。

◆影響を与える周囲の大人の様子

地震以後、保護者や教師を始め、周囲の大人とどのような時間を過ごしたのかによって、お子さんの様相は違ってきます。
親族や親しい者が東北など被災地方面にいる場合、安否確認で保護者の形相が変わってしまう場合もあります。
ご家族と被災地との関係のあり方で、心のダメージは違ってきます。

◆大人が子どもの見本になる

今回の震災を、ご家庭や教師や周囲の大人たちが、どのように理解し、どのように語っているのか(その内容よりも、情緒的な面での大人の不安や緊張などの方が影響が大きいのですが)
という辺りが、子どもの不安や緊張の程度を増幅させるか、減弱させるのかを分けます。

◆健康に注意をはらいましょう。

朝の挨拶のあと、いつもより時間をとり、「ゆっくり眠れた?」「調子が悪いことはないかな?」
と、身体面に注目するようになさってください。

◆お子さんの表情がいつもと違うときは

お子さんの表情を見取りながら、
「心配なことはなーい?」「浮かない顔しているね」などと、表情面から受け取れることを表現なさってください。

◆元気過ぎるのも心配です

お子さんによっては、妙に元気な感じに思えることもありますが、
これは覚醒が亢進した状態「過覚醒」とお考えください。
いつもよりもゆったりとした口調で、そのようなお子さんには応じていただければと思います。

東北関東大震災特設 先生のためのメール相談http://for-supporters.net/)」
上記のサイトより、今回の災害に関しての子どものケアについて、相談することができます。
ぜひご利用ください。

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被災地でできる子どもの心のケア(全5回)

第1回 身体面からのこころのケア
http://hiiragi1978.seesaa.net/article/192691026.html

第2回 辛さを受け止める(1)
http://hiiragi1978.seesaa.net/article/192935967.html

第3回 辛さを受け止める(2)
http://hiiragi1978.seesaa.net/article/193431494.html

第4回 不安や恐怖について(1)
http://hiiragi1978.seesaa.net/article/193650809.html

第5回 不安や恐怖について(2)(3)
http://hiiragi1978.seesaa.net/article/193722716.html

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【心理的支援PDF】
サイコロジカル・ファーストエイド(PFA)は地震直後などに行うことのできる効果の知られた心理的支援の方法を、必要な部分だけ取り出して使えるように構成したものです。
http://p.tl/zmaT
これから個人でボランティアに行くつもりの人は読んでおいてください。

もっと詳しくお知りになりたい場合は「兵庫県こころのケアセンター」に日本語第2版があります。
http://www.j-hits.org/psychological/index.html
被災地ではダウンロードできないかもしれません。

明日は要約
「幼いお子さんの様子に応じた関わり」
を載せますが、いずれにせよ、「こうしなければいけないんだ」とは思わず、知っておくことで、出来なくても「こうすればよかったんだ」と気づけるようになるのが重要です。

緊急時や非常時に頭で考えたり、知識として持っていることをできる人は少数です。
どうすればいいのか自分や子どもに対してわからなくなったときの迷う時間を減らすもの、程度に考えてください。

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こうした有効な手引書や過去の震災のレポートは、ばらばらに点在し、落ち着けば探して入手可能になりますが、本当の緊急時には目の前にないことがほとんどです。

事前にそろっていれば流言や風評を少しは防げると思うのですが、マスメディアはあくまで「ニュース」を流し、どんなに深刻な内容でも時間によっては「ショー」にしてしまいます。

アーカイブは、私たちが経験したことをその直後からしていくことが重要なのではないかと考えます。

与えられた情報をどう扱うか、は、過去に学ぶ、集積することも含まれます。

必要なものをあなたのブログやウェブサイトにも集め、「ここにはこういうものがある」と発信してください。

これから私たちが今よりも無力でなくなるために。

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渡辺英輔

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